ディスプレイは大きければ正解なの?
「ディスプレイは何台使っていますか?」
「何インチの画面ですか?」
パソコン環境の話になると、ディスプレイの数や大きさは、仕事の効率を語るうえで重要な要素として扱われがちです。27インチを2台並べたデスクや、横長のウルトラワイドディスプレイを見ると、たしかに仕事ができそうに見えます。画面が広ければ、資料を表示したまま文章を書いたり、複数のウィンドウを同時に確認したりできます。
私も以前は、ディスプレイの大きさや数は自分にとって大切なものだと思っていました。ところが、使っていたiMacの画面が映らなくなり、すぐに新しいディスプレイを用意しなければならない状況になったことで、その考えが少し変わりました。
iMacが壊れても、すぐに困らなかった
iMacが使えなくなったとき、最初は「これはすぐに外部ディスプレイを買わなければいけない」と思いました。大きな画面がなければ仕事にならない。そう考えていたからです。
しかし、2〜3日ほどWacomOneを中心に使ってみると、意外なことに、それだけでも仕事は続けられました。もちろん、画面が広いほうが便利な場面はあります。資料を見ながら作業をするときや、複数のアプリケーションを並べたいときには、広い作業領域が助けになります。
それでも、「大きなディスプレイがなければ何もできない」というほどではありませんでした。画面が切り替わるまで少し待つ必要があるわけでもなく、ショートカットを使えば、アプリケーションや作業スペースを素早く移動できます。
そこで初めて、私は「画面の広さが必要」なのではなく、「画面の広さがあると便利」なのだと気づきました。この二つは似ていますが、意味は大きく違います。
画面の広さは力。でも、すべての人に必要な力ではない
周囲には、画面の広さは力だと言わんばかりに、複数のディスプレイをすすめる人もいます。実際、画面を広く使えることには明確なメリットがあります。
たとえば、参考資料を表示したまま原稿を書く、メールと表計算ソフトを同時に確認する、動画編集のタイムラインを広く表示する、といった作業では、ディスプレイが大きいほど視認性がよくなります。画面を切り替える回数が減るため、作業の流れが途切れにくくなるでしょう。
一方で、画面が広いことが、そのまま作業速度につながるとは限りません。ウィンドウをたくさん開いた結果、どこに何を表示しているのかわからなくなったり、通知や情報が目に入りすぎて集中できなくなったりすることもあります。
ディスプレイが27インチ2台の自分と、WacomOne(13インチ、ペンタブレット)を使っている今の自分が、同じ仕事を競争したら、前者が勝つのかもしれません。しかし、現実には自分が二人いるわけではありません。比較できない存在と競争するより、今の環境でどこまで快適に、確実に仕事ができるかを考えたほうが意味があります。
作業効率は、ディスプレイより使い方で変わる
画面の狭さを感じたとき、すぐに機材を買い足す前にできることがあります。それは、デスクトップの使い方を見直すことです。
まず、作業スペースを用途ごとに分けるだけでも、画面の切り替えはかなり楽になります。文章を書く場所、調べ物をする場所、連絡を確認する場所を分けておけば、ひとつの画面にすべてを詰め込む必要はありません。
次に、ショートカットを覚えることです。アプリケーションの切り替え、ウィンドウの移動、作業スペースの変更などをキーボードで行えるようになると、マウスを使って画面の端から端まで移動する時間が減ります。一回の短縮はわずかでも、毎日何十回も繰り返す作業なら、積み重ねによる差は小さくありません。
そして、開いているウィンドウを整理することも大切です。必要のないアプリケーションやタブを閉じるだけで、画面は広く感じられます。ディスプレイを大きくする前に、視界を整理する。これは、実際の机を片づけることにも似ています。
「足りない」と「慣れていない」は違う
大きなディスプレイを使っていると、それが当たり前になります。そこから画面が小さくなると、最初は不便に感じるでしょう。しかし、その不便のすべてが「本当に画面が足りない」という意味ではありません。単に、今までの環境に慣れていたという可能性もあります。
私自身、iMacの画面が映らなくなった直後は、かなり困ると思っていました。けれど、数日使い方を変えてみると、今の環境でも仕事は成り立つことがわかりました。これは、我慢しているだけなのかもしれません。負け惜しみと言われれば、そうなのかもしれません。
ただ、今の自分は「これで十分かもしれない」と感じています。その感覚を、無理に否定する必要はないと思っています。
便利さを必要性と取り違えない
新しいディスプレイを買うことが悪いわけではありません。作業内容によっては、画面の大きさや台数が生産性に直結します。毎日使う道具だからこそ、快適な環境に投資する価値もあります。
しかし、「便利だから必要だ」と思い込むと、道具に自分の仕事を合わせることになります。大切なのは、自分の仕事に本当に必要なものは何かを考えることです。
広い画面は、作業の可能性を広げてくれます。一方で、限られた画面は、作業を整理するきっかけを与えてくれます。どちらが優れているという話ではありません。自分がどんな仕事をして、どんな状態なら集中できるのか。それを基準に選べばよいのです。
結局〜
ディスプレイの数や大きさは、仕事道具としてたしかに重要です。でも、それが作業効率のすべてではありません。
画面を切り替えるショートカットを覚える。デスクトップを用途ごとに整理する。不要なウィンドウを閉じる。自分の集中を邪魔するものを減らす。そうした小さな工夫でも、仕事のスピードや快適さは変えられます。
大きな画面を使う自分と、限られた画面で仕事をする自分を比べて、勝ち負けを決める必要はありません。比較する相手は、昨日の自分で十分です。
「もっと大きな画面が必要だ」と感じたときは、まず自分に問いかけてみる。これは本当にディスプレイの問題なのか。それとも、使い方や慣れの問題なのか。
iMacが壊れたことで、私はそのことを考えるようになりました。今のところ、WacomOneを使う今の環境で、もう少し工夫してみようと思っています。
便利さを追いかける前に、今ある画面を使い切る。
それもまた、仕事をするうえでのひとつの心得なのだと思います。
とはいえ、会社で使っているGeekomのPCを持ち帰った時は、ディスプレイが必要になり、新規にディスプレイを購入する必要が出ると思いますけどね。

